クマタカ


 2017年 秋(その5)

 山歩きを始めて、30年余りが過ぎた。山歩きでは、山の中や車で移動中にクマタカを見かけることがある。それらの中から、自分なりに観察地を選んでおり、その数は二桁に及ぶ。
 今日はその中から、奥深い山紫水明の地を訪ねてみることに。ここにカメラを構えるのは、初めてのこと。さて、どのようなドラマが展開されるのか・・・。
 到着してすぐ、肉眼で辺りを探してみる。すると、遠くの木に米粒ほどの鳥の影。早速双眼鏡で確かめると、クマタカである。朝早い時間帯であり、今止まっているクマタカが飛ぶことはないだろうと鷹をくくり、時々その姿を見ながら、あせることなく丁寧にカメラの準備にかかる。
 カメラの準備が終わって止まり木を見ると、いない。30秒前まではいたのに??・・・。あせりながら、双眼鏡で確認するが、何もいない。「しまった~」と思ったが、時既に遅し。
 どの方向へ飛んだのか検討もつかず、広い範囲を探してみるが全く手がかりはない。気落ちしながらも周辺を見渡し続けていると、不意に斜め後から大きな鳥の影。クマタカである。あわててカメラを向けるが、至近距離。近すぎて、ファインダーに入ったのは全身の半分ほど。もう少し早く気づいていれば、全身を撮ることができたのに!。残念無念。
 ところが、至近距離を通過したクマタカは、近くの大木に止まった。ここで一気に連写、また連写である。クマタカは全身の様子からして幼く、今年孵った幼鳥であろう。
 しばらくすると数羽のカラスがやってきて、ちょっかいをかける。しかし、クマタカも負けるものかと口を開け、翼を広げてカラスを威嚇。30分ほどカラスとのやりとりが続いたところで、クマタカは嫌気がさしたのか、遠くへ去った。
 ここは、クマタカが育つ素晴らしい自然環境である。この環境は人々の暮らしにも大切であり、将来にわたって維持されるよう願っている。
 
 

 
冠羽を立てた幼鳥



この長く鋭い爪で獲物を捉えるようになるのは、もうしばらく先であろう







近寄る数羽のカラスを威嚇



そして、遠くへ





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