白鳥山(1638.8m) 熊本県 |
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経路概念図 へ![]() |
![]() ナメコ |
![]() 白鳥山山頂 |
![]() 椎葉越 登山口 |
![]() 平清経住居跡の碑 |
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![]() イチイの大木 泉・五家荘登山道整備プロジェクト提供 |
2009年11月13日 前夜は五家荘で行われた、登山地図づくりの検討会に参加した。 そして、この日は宮崎と熊本の県境に位置する白鳥山周辺で行われる、イチイの保護作業への参加である。 イチイの木はシカの好物で、シカは大事な樹皮をはぎ取るようにして食べる。樹皮を剥がれたイチイの木は、養水分の流れが悪くなって衰弱し、やがて枯れる。 白鳥山の山頂周辺には、樹齢数百年を越えるイチイの大木が数多く残っている。しかし、近年異常に殖えたシカの食害によって、若木はもちろん幹回り3mを越える大木も次々に枯れ始めている。 この貴重なイチイの木を守ろうと、椎葉村の地域興しグループ「大国見会」の呼びかけに「五家荘地域振興会」やボランティアが応じたもので、この地域を管轄する宮崎、熊本両県の森林管理署による現地指導のもとに実施された。 当日の参加者は総勢15名。雨が降り続くあいにくの天気であるが、8時25分、それぞれに防護ネットを担いで、県境の峰越峠から入山する。 山頂との中間辺りまで進むと、シカに樹皮を剥がれたイチイが現れる。ここで防護ネットの取り付け方を全員で教わり、作業地域へ向かう。 作業はドリーネのところから本格的に始めることになり、2班に分かれて作業を開始。 まずはイチイの木探しである。霧雨に煙って見通しが利かない中、馴れた人は次々に見つけるが、初心者には至難の技。たまに見つけたと思って近寄って見ると、よく似たモミノキでがっかり(モミノキは鹿が好まないようで、鹿の食害は見られない)。 一本ごとに、2〜3人が協力してネットを地面から2mほどの高さに巻き、つなぎ合わせながら止めていく。雨は冷たいが、指先がかじかむほどではなく、作業は思ったよりも順調に進む。 見つけたイチイの木は、被害の多少はあるものの、ほぼ100%の木が皮を剥がれ、ひどいものは枝の大半が枯れ、完全に枯れている木も目立つ。 この日の防護予定は50本であったが、72本を防護したところで資材がなくなって終了。霧雨が弱くなった山で、遅い昼食を済ませて下山する。 下山後、参加した人たちによる意見交換会が、椎葉村で行われることになり参加した。 出された主な意見は、荒廃が進みつつある脊梁山地の環境を守る必要性やその方策。地域の経済を活性化させるための観光や登山資源の充実と開発。そのための椎葉村と五家荘の連携などである。 登山の分野では、連携した登山道整備のさらなる継続(山と渓谷誌、本年12月号でその概要を紹介)。県境を越える縦走登山者に対する、両地域が連携した宿泊情報の提供や送迎への対応。シカの食害による、絶滅寸前のキレンゲショウマの保護地の設定と増殖への取り組み。五家荘で進められている、本年度中に完成予定の詳細な登山地図の作製。など、など。 これらの実現へ向けて、「大国見会」と「五家荘地域振興会」が協議を行う、との申し合わせが行われた。 そして、心強く思ったのは、森林保護資材の準備や現地指導など、森林管理署の積極的な支援である。 椎葉村と五家荘は、県境をはさんではいるものの、人々の思いは相通じることが多く、これらの取り組みを通して、この地域で暮らす皆さんが益々元気になられることを願っている。 |
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![]() 最近シカに食べられたイチイの樹皮 |
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![]() 樹皮保護カバー 商品名:バークガード ポリプロピレン製 網目13mm |
![]() 幹への取り付け |
![]() 数名が協力して作業を行う |
![]() 苔むした石灰岩のオブジェ |
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![]() 参加者全員 Mishan提供 |
![]() 風穴 穴の大きさは3mほど |
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