烏帽子岳(1692.2m) 熊本県


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山頂

 

烏帽子岳

  
ナギナタコウジュ

 
山頂から見た脊梁の山並み 市房山方向


 

ガマズミ


2009年10月4日

 この日は、泉・五家荘登山道整備プロジェクトの呼びかけによる、登山道整備への参加である。

 整備の区間は、五家荘と椎葉村を結ぶ峰越林道の峠、椎葉越から烏帽子岳までの約5km。

 集結したのは24名。うち半数が熊本県や鹿児島県、福岡県からのボランティアである。

 24名を2班に分け、A班は登山口から山頂へ向かって作業を進め、B班は山頂から登山口へ向かっての整備である。
 私たちは年齢を省みず、強者ぞろいのB班に入れてもらった。しかし、足手まといにならないかと、心配もよぎる。

 まずは、山頂へ向かっての山登り。草刈り機を担いだ屈強な3名を先頭に、ボランティアが続く。ザックには通常の登山用具に加え、厚鎌と鉈、それに鋸を入れている。

 登るペースは、いつもの私たちよりかなり早い。息を切らしながら跡を追う。30分ほど登ったところで一休み。つかの間の休息にほっとする。
 見上ると空は青く澄み、早くもカエデが色づき始めている。

 小休止のあと、山頂までは休みなし。途中にある樹林の切れ目からは、これから向かう烏帽子岳の頂が見える。
 急坂を登り稜線に出ると、この日始めて見る花が咲いている。花の名前はナギナタコウジュ(薙刀香需)。優しい色の清楚な花である。

 稜線からは、シャクナゲの中を山頂へ向かう。歩きながらシャクナゲのつぼみを探してみるが、数はかなり少ないようだ。

 この日は空気が澄み、遠くまで良く見える。山頂からの展望は素晴らしく、市房から天草の山々までの雄大な山岳展望が広がっている。

 一休みして、作業を開始する。3台の草刈り機がうなり声を上げながら、スズタケを刈っていく。その後にボランティアの皆さんが続き、刈られたスズタケを登山道の端に寄せながら進む。

 振り返ると、今までスズタケに覆われていた登山道は幅1.8mほどに切り開かれて、快適な登山道に早変わり。

 しばらく刈り進むと、草刈り機一台のエンジンが不調になった。回転が上がらずに、すぐ止まる。 そこで、草刈り機を長年使っている「かわせみ」が修理を買って出る。修理というよりも調整である。

 エンジンの調子を見ながら、燃料供給の調整を繰り返す。すると、ものの数分で正常に戻り、また快調なエンジン音を響かせながら刈り進む。

 刈り進んでいる途中で、大きなブナが見つかった。見つけたのはボランティアで参加の写真家の皆さん。ブナは登山道から15mほど入ったスズタケのヤブの中に立っていた。

 登山者がブナの大木を近くで見ることができるように、スズタケのヤブを刈り払う。ブナの幹回りを計ってみると365cmほど。見事な大木である。

 山頂から2kmほど刈り進んだ所で、登山口から刈り進んできたA班と出会った。嬉しい出会いである。 これで、5kmに及ぶ登山道の整備が終了した。この長い距離を一日で成し終えることができたのは、地元の皆さんとボランティアによる素晴らしい取り組みの結果である。

 この日の整備で、五家荘の周囲を巡る登山ルートが整えられた。一昨年から始められた登山道の整備は、国道455線の二本杉峠から雁又山、京丈山、平家山、国見岳、五勇山、烏帽子岳を経て椎葉越までが完了した。

 椎葉越から白鳥山までのルートは、これまで良く保全されており、今回の整備で、先述の二本杉峠から椎葉越を経て白鳥山までの長大なルートが整ったことになる。

 白鳥山から水上越、七辺巡り、南山犬切、石楠越、蕨野山を経て積岩山へのルートと、先の七辺巡から北山犬切へ向かうルートは、ともにスズタケがほぼ枯れて、見通しも良くなり歩きやすくなっている。

 しかし、これら白鳥山から先のルートは、踏み跡が薄く道標もない所があるので、入山にあたっては十分な注意が必要である。
 
 終了後、地元の皆さんからふる舞っていただいた猪汁の味は格別で、お代わりが続出して大鍋は瞬く間に空になった。



始まったカエデの紅葉


ブナの大木 地上1.3m の幹回り365cm


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