白鳥山(1639.2m)〜七辺巡り(約1595m) 熊本県


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熊本、宮崎県境峰越林道の峠にある登山口


白鳥山から続く山並み


スズタケがほぼ枯れた稜線


2009年5月31日

 今日は「五家荘登山道整備プロジェクト」の招きによる登山道の調査である。
 五家荘では、計画的に脊梁山地の壮大な登山道整備が進められていて、京丈山から国見岳、烏帽子岳にかけては、今年5月1日までに登山道の刈り払いや道標の設置が行われた。

 今回は次の段階で、五家荘と宮崎県椎葉村を結ぶ峰越林道から白鳥山、七辺巡りを経て、上福根山に至るルートの整備を行うための事前調査である。
 メンバーは地元4名、外部から2名の計6名。それに無線通信や車での送迎などの支援者数名からなる構成である。

 登山口は、峰越林道の県境に位置する峠である。
今回は、登山口から標記2座を経て一本樫林道までを調査した。距離は14.1km、所要時間は6:45であった。

 登山口から白鳥山にかけての登山道は明瞭でヤブ状のところはなく、目印や私製の道標ももあって分かりやすい。登山道は自然林の中を通っていて、葉っぱを透して降り注ぐ緑の光がすがすがしい。

 白鳥山の山頂一帯は、自然にできた石灰岩の美しい造形や平清経の居住地跡などがあり、、歴史を思い起こさせるところでもある。

 白鳥山から稜線を七辺巡りへ向かう。稜線のスズタケは枯れていて、見通しはよく歩きやすい。途中では、随所にヤマシャクヤクの群落が現れ、花の時期にも歩いてみたい。

 踏み跡が薄いところや目印の間隔が遠ところには目印を補足し、道標が必要なところは記録をとりながらながら進む。
今回のルートは、稜線の幅が広くて特徴が少なく、地図上での現在位置が分かりづらい。このルートを歩くには、地形図とコンパスは必携である。

 水上越は五家荘と水上村を結ぶ古道で、稜線との交点には小さな道標「水上越」地図の「水上越1」がある。さらに進むと、同じく小さな道標「水上越」が現れる。ここは、地図の「水上越2」である。こちらの道標は球磨川源流点に直接下る登山道を示すもので、本来の水上越は先述の古道の位置である。

 七辺巡りは広い台地状で、現在位置が特に分かりづらい。「七辺巡り」の地名は、道を迷いやすいことに由来しているそうで、目的地へ進んでいるつもりでも、同じ所を回っていて脱出できない状態、つまり「輪形彷徨に陥りやすいところ」と言い伝えられている。
 実際に、今でも登山者が同じような状況に陥ることが度々あり、特に見通しが悪い日は注意が必要だ。

 七辺巡りから、林道川口樅木線の通称山犬切峠へ向かう。踏み跡は薄いが、目印は続いている。
 山犬切峠一帯は、林床を埋め尽くすようにトリカブトが伸び始めていて、踏み跡が見えないほど。また、この辺りには大木が多く、中でも幹周りが4mを越えるヤマザクラの巨木は圧巻で、花の頃にも訪ねてみたい。

 山犬切り峠からは、上福根山への縦走路を進む。しばらく進むと明瞭な稜線となって北山犬切への分岐点に着く。今回は北山犬切には登らずに、縦走路を一本樫林道への分岐点へ向かう。
 一本樫林道への分岐点には、私製の道標があって分かりやすい。分岐点からは林道に向かって尾根道を下る。尾根道は切り開かれていて、道を見失うことはない。しばらく下ると人工林になり、やがて一本樫林道に出会う。

 林道からは、迎えの車で樅木まで下る。一本樫林道の起点に近いところにはゲートがあり、通常このゲートは閉められている。

 今回調査したルートは、脊梁山地の素晴らしさが凝縮された山域であり、登山者が道に迷うことなく快適に歩くことができるように、整備が進められる予定である。

平清経 住居跡の碑


緑が美しい自然林の登山道


イチイの巨木


ヤマザクラの巨木 この日計った幹周りは4.66m


苔むした石灰岩の造形


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