岩宇土山(1347m) 熊本県

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地形図の標高点から東北へ100m
ほどのところにある山頂標識



雪が残る 岩宇土山北面


岩宇土山への登りから見た石楠越方面


2009年2月17日

 八代市泉町、久連子の平岩にある登山口から、山頂を経てオコバ谷へ周回した。距離は7.2km、所要時間は4:30、うち花の観賞時間は1:20であった。

 この日の目当てはフクジュソウ。今回のルートを歩くのは、2年振りである。2年前に歩いた記憶は薄れ、数年前の土石流で傷んだ登山道の状況や、迂回路を見つけることができるかどうか、気がかりである。進むのが困難で迂回もできない場所に出会えば、無理はせずに引き返すつもりである。

 天気は晴れ。この日は遅めの出発である。うららかな日射しの中を歩き始める。稜線に出ると久連子の南に連なる積岩山から鷹の巣山にかけての稜線がすぐ近くに見える。

 石仏を過ぎ、山腹を巻くようにしばらく登ると、斜面にフクジュソウが現れる。小さな群落であるが花は5部咲きで、しばらく先まで楽しめそうだ。一年ぶりのフクジュソウを愛でながら心ゆくまで観賞したあと、再び山頂を目指して歩き始める。

 急坂の山腹を登り、稜線の手前で久連子鍾乳洞に出会う。鍾乳洞の中は丸い形で、奥行きは20mほど。星空のもとで、一晩過ごしてみたいような立派な洞窟である。

 鍾乳洞の先で再び稜線に出ると、岩宇土山の頂が近くに見える。頂の北面には雪が残り、林床は一面真っ白である。

 岩宇土山の頂からは、北方向に上福根山から茶臼山にかけての稜線が連なって見える。

 山頂から上福根山へ続く稜線を下り、オコバ谷への分岐点へ向かう。
 分岐点から西へ折れ、オコバ谷へ下る。この辺りの登山道は、2005年9月に起きた大規模な土石流で消失してしまった。

 現在のルートは、土石流が及ばなかった人工林の中を下るもので、見通しは利かず、踏み跡も薄いために、ルートを見失いやすい。
 目印はついているが間隔が遠いところもあり、地図とコンパスで進行方向を定めて進むなど、細心の注意が必要だ。

 しばらく下ると、見通しが利かない人工林から、一旦開けたところに出る。東側は土石流が走った跡で、広く深く浸食されている。

 土石流が起きる前、この辺りにはフクジュソウがたくさんあったところであるが、現在では土石流跡の周辺に残っているだけである。

 ここの花は満開に近く、ちょうど見頃。写真に収めて、大きな群落がある台地へ向かう。

 開けた所を西方向へ進み、人工林の縁で登山道の取りつきを探し、小さな踏み跡を見つける。ここから台地までは古くからの登山道である。

 途中では、急斜面の上から土石の崩落が続いているところがあり、落石に当たらないように、素早く通り過ぎるなどの注意が必要だ。
 私たちが通るときも、数個の小石が頭上から落ちてきて、ひやっとした。

 開けた台地に着くと、たくさんのフクジュソウが咲いている。花は満開に近い。斜面の群落を下から眺めると、花は少し傾いた午後の光を透して、群落全体が黄金色に輝いている。光と花が創りだす素晴らしい眺めに至福のひと時を過ごす。

 心ゆくまで観賞をした後、下山路を探して下る。少し下ったところで、見覚えがあるニホンミツバチの巣に出会う。
 この大木をくりぬいて作られた巣は、以前から私たちの目印でもある。

 登山道は一部が土石流に流されていて、その跡を高巻くように下り、やがてオコバ谷の本流の渡渉地点に着く。

 渡渉地点は2年前とほとんど変らず、対岸に目印があって、出発時の最大の心配事はひとまず解消である。

 渡渉地点の流水は少めで、支障なく対岸に渡る。渡渉後は、急斜面の中腹を通る細い登山道を下る。しばらく下ると、谷底で進められている土石流の復旧工事現場の上に出る。少し進むと、2年前に歩いた登山道から分かれて、谷底へ向かって新たな踏み跡があり、目印も付いている。
 その目印に沿って下る。目印は途中でなくなったが、古い杣道らしい跡を見つけて更に下り、谷底に近づいたところで対岸に工事用の車道が見えてきた。

 あとは工事用の車道に出るだけである。谷底へ降りやすい緩やかな傾斜のところを探して、谷底へ降りる。
 この地点に流水はなく、支障なく工事用の車道に出て、出発地点に戻ることができた。



登山道に祀られている石仏

 
ニホンミツバチの巣

 

登山道沿いにある久連子鍾乳洞

 
登山口近くの民家の軒先にできていたスズメバチの大きな巣


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