池ノ原(1432.7m)〜大障子岩(1451m) 大分県


大障子岩からみた歩いてきた稜線と祖母山


大障子岩 


経路概念図 クリックで拡大

朝焼けの烏帽子岩、天狗岩

久住連山
  



 2008年11月13日

 豊後大野市の尾平登山口から、標記2座を経てクーチ谷へ周回した。距離は13.6km、所要時間は8:05であった。

 今日は長丁場。不足の事態で下山が遅れると、日が暮れて危険な状況になる。いつもザックに入れているヘッドランプや電池とそれらの予備、緊急野営用の簡易テントなどを出発前に再度チエックする。
 日が短いこの時期は、早立ちが肝要だ。午前6時30分、明るくなるのを待って出発する。

 歩き始めると、何度も歩いた稜線の天狗岩や烏帽子岩が朝焼けに染まっている。透き通った流れの奥岳川に架かる吊り橋を渡って、稜線の宮原へ連なる尾根へ向かう。
 尾根は取り付きから急である。急がず休まず、自分たちのペースでゆっくり登る。
 紅葉は稜線から下りてきて、今は標高700〜1000m辺りが見頃である。

 稜線の宮原に着くと、木々はすっかり葉を落としていて、原生林は早くも冬枯れの様相である。
 宮原からは、緩やかな稜線を快調に進む。

 稜線のスズタケは全て枯れかかっていて、歩きやすくなっている。しかし、地肌は露出していて、このような状態が続くようであれば、山の浸食や崩壊が急速に進みはしないかと、気がかりだ。

 スズタケは「数十年に一度花が咲くと枯れる」と言われてきた。しかし、森林の研究者によると、近年は大量に殖えたシカが草を食べ尽くし、餌不足からスズタケの葉までも食べるようになったそうである。
 その結果、九州の脊梁山地では広範囲にわたってスズタケが枯れ始めており、その状況は深刻だ。

 池ノ原を過ぎると、大障子岩へ連なる大きな岩峰が見えてくる。やがて大きく下って登り返すと目的の大障子岩が眼前に迫り、圧倒されそうである。

 再び下ったところが八丁越で、帰り道の分岐点である。分岐点を確認して、大障子岩への登りにかかる。急坂を岩角や木の株につかまりながら慎重に登る。やがて傾斜が緩くなると山頂である。

 山頂からの展望は素晴らしく、北には久住連山、東は傾山、南には古祖母山から本谷山、そして西には阿蘇の山並と、ぐるーと一周見渡せる。

 山頂からは八丁越まで引き返し、クーチ谷へ向かう。途中には急坂の滑りやすい岩場があり、慎重に下る。
 道は山腹をシグザグに下りながら沢を数回横切り、やがて岩が累積する谷を下る。

 しばらく下ると谷からスギ林に入り、やがて林道に出会う。そこからは林道を歩いて、登山届けのポストがある林道の分岐点に着く。さらに林道を一下りで県道に出る。

 県道を奥岳川に沿って歩いていると、本物の「ヤマセミ」が川の上流から下流へ飛び去り、一瞬にして視界から消えた。ヤマセミが棲んでいるところは、まだまだ自然が豊かである。
 あこがれのヤマセミに出会ってからは足取りも軽くなり、登山口へは予定通りの時間に辿り着いた。

 今回歩いた登山道は明瞭で、ルート上の分岐点には丁寧に図示した道標が付けられており、目印もあって分かりやすい。

 反省点はコース設定である。下りに利用したクーチ谷は岩場が多く、登りに利用した方が安全であると思われる。 


 
ブナ林と枯れ始めたスズタケ




ツルリンドウの実

 
カエデ




 

登山道の紅葉


マムシグサの実

 
ヤブレガサ

 
ヒヨドリバナ





カエデ


シロモジ


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