石楠山(約1455m)〜南山犬切(1562m)〜七辺巡り(約1595m)                  
     〜北山犬切(1621m)〜上福根山(1645m)〜岩宇土山(1347m) 熊本県


 


経路概念図 クリックで拡大
 
 
登山口の標柱

  
大規模林道から見た岩宇土山


岩宇土山から見た大規模林道と南山犬切への稜線


トリカブト

  
      

ヤマシャクヤクの実

2008年9月23日

 八代市泉町の大規模林道、菊池人吉線にある泉五木トンネル近くから、標記6座を経て久連子の平岩集落へ周回した。 距離は約23.0km、所要時間は12:24であった。

 登山口の位置は、トンネルの北口から北へ約400m、林道の南側にあり車数台分の駐車スペースもある。そこには、「石楠越」と書かれた小さな白い標識が立っている。

 今日のめあては、トリカブトの花と南山犬切までの初歩きである。

 今回のルートは、全半の山犬切峠までは、尾根や谷の幅が広くて現在位置が分かりづらく、道迷いの危険性が高い。
 そのことを表しているのが、途中にある「七辺巡り」の地名で、このルートを歩く時は道迷いに十分な注意が必要である。

 曇り空、十分に明るくなるのを待って午前6時30分、気を引き締めて出発する。これから向かう上福根山方面を見ると、濃いガスで山頂は全く見えない。

 登山口からしばらくは、自然林である。やがて人工林となり、目印はあるが、間隔が遠いところもあって、注意をしながら進む。

 途中からは、少しくぼんだ古い踏み跡があり、その踏み跡をたどる。この古い踏み跡は地形図の破線の道で、石楠越へ通じている古道のようだ。

 稜線に出ると大木が茂る自然林で、九州山地の脊梁に来たことを実感する。
 稜線に出る少し前から来いガスが現れて、視界は20〜30mほど。付いているであろう目印も、容易には見つけることができずに、慎重に進む。

 特徴の少ない同じような地形が続き、現在位置が分かりづらい。地形図とコンパスそれにGPSを使って頻繁に現在位置を確認しながら進む。

 最初のチエックポイントは、1442mのピークとしていたが、濃いガスで山頂の標識を見つけることはできずに先へ進む。

  ガスは相変わらず濃く、ぼーっと霞む幻想的な自然林の中を進む。踏み跡は判然としないが、幸いなことにスズタケは立ち枯れていて、歩くのに支障はない。

 道迷いの不安を感じつつ、現在位置を確認しながら進むと、読図の通りに石楠山のピークに到達する。

 次の目標地点は、南山犬切である。時折、霧雨が降り、相変わらず濃いガスの中を慎重に進む。傾斜の変化や小さなピークなど、僅かな手がかりとなるところでは、頻繁に現在位置を確認する。

 これほど真剣に地図を読みながら進むのは、雪山以来久しぶりのことだ。
 ガスが立ちこめる狭い視界の中を進んでいると、山を歩いているという感じよりも、地図の上を歩いている感覚になるから不思議なものだ。
 進行方向を慎重に判断しながら歩いていても、登山道からずれる。そのたびに、進行方向を修正しながら進む。時間はかかるが、こまめなチエックが大きなミスを防ぐことにつながる。

 南山犬切りの山頂へも、ルートをはずすことなく、ピタッと正確に到達できた。山頂には標識もあって、一安心。 ガスは相変わらず濃く、霧雨も降り続く。気象状況が悪く、ここから引き返すか進むか、判断のしどころである。 視界が利かない悪天候の中、一つ間違えば道を迷うことは確実だ。
 
 登山口からこの南山犬切までは、初めて歩くルートであったが、ここから先は過去に何度も歩いているので、注意力を維持すれば次の目的地「七辺巡り」から林道川口線の山犬切り峠までは到達できそうである。しばらく考えた末予定通りに進むことにする。 

 視界が利かない悪条件の中で、何よりも心強いのは、携行しているGPSの軌跡を描いた地形図である。 この地図は今年9月に同じ登山口から北山犬切まで歩かれた、お二方のウェブサイトからいただいたものである。 当然のことではあるが、そのGPSの軌跡の正確さにはあらためて関心をする。

 次のポイント「七辺巡り」は、地形的な特徴が少なく、同じような地形が続くために、特に道を迷いやすい所であるが、先ほど通過をしてきたいくつかのチエックポイントと同に順調に到達をすることができ、次の目的地「山犬切峠」を目指す。
 しばらく進むと、ガスの中に紫のトリカブトの花が浮かび出た。近寄ると辺り一面に咲いている。これほどの群落を見るのは久ぶりだ。それに、花は今までになく美しく咲いている。この美しい花園があるのは、今年はまだ台風の影響を受け手いないからであろう。

 ちょうど見頃の花園に大満足をして、山犬切峠へ向かう。相変わらずガスは濃く、霧雨も時折降ってくる。

 小さなピークを幾つか越え、斜面をしばらく下ると、見覚えがある防火啓発用の赤い横断幕が視界に入り嬉しくなる。 道迷いの危険性が高いのは、ここ「山犬切峠」までである。 しかしここまでに、現在位置の確認や進行方向の見極めに、計画よりも1時間ほど多くの時間を要している。

 山犬切り峠では、幸いなことにガスも薄くなり、頭上には時折小さな青空も見える。

 山犬切峠でも天気が悪ければ、北山犬切と上福根山には登らずに、林道川口線を歩いて岩宇土山に向かう予定であったが、天気は良くなるようであり、当初の計画通りに稜線を北山犬切から上福根山へ向かう。 
  この稜線は毎年1〜2回歩いていることもあり、順調に上福根山に到達する。

  途中には、「前福根山」の標識があるが、標識の位置は鞍部にあり、正確には経路図D地点のピークであろうと思う。
 前回、2008年5月に歩いたときには、その先の稜線に「中福根山」の標識もあったが、今回は見つけることができなかった。この「中福根山」の標識の位置もGPSのデータを見るとずれているようである。「中福根山」の正確な位置は経路図F地点のピークであろうと思われる

 上福根山の周辺には大きなシャクナゲの群落がある。歩きながら見た蕾の着き具具は、昨年同様に非常に少ないようだ。

 上福根山から岩宇土山へ向かう途中で、天気は良くなり日が射してきた。稜線では、所どころで紅葉が始まっていて、山の秋は一足先に進んでいるようだ。

 岩宇土山のピークを過ぎた石灰岩の斜面では、秋の柔らかな日射しを浴びて、たくさんのトリカブトが咲いている。
花の色は先ほどの群落よりも鮮やかで、深い青紫色が印象的だ。

  16時25分、出発から10時間近くを要して久連子の平岩集落にたどり着いた。

 地形図には、平岩集落のすぐ先にある久連子大橋から石楠越への破線の道が描かれている。しかし、現在は使われていないようで、歩くことができるかどうかは分からない。
 10年ほど前の書籍には、久連子大橋から破線の道を歩いた記録があり、石楠越までの所要時間は2時間30分と記されている。

 久連子大橋のたもとで、破線の道を少し探してみたが、それらしい道は見つけることができなかった。

 久連子大橋から出発地点に戻るまでには日が暮れる時間帯であり、無理はせずに安全な林道を歩くことにする。

 久連子大橋から出発地点までの距離は、約8kmである。
疲れた体には、うんざりする距離であるが、気合いを入れ直して黄昏が迫る林道をひたすら歩く。

 しかし、歩けば嬉しいこともある。途中では自然木に混じって野生のモモが熟れ、アケビも赤く色づいている。タヌキや小鳥の餌となるそれらの実を、少しだけ頂いて口に含むと、懐かしい味に気分は一瞬にして少年となり、疲れた足に元気がよみがえる。

 そうこうしているうちに、すっかり暗くなった午後6時54分、ようやく出発地点にたどり着いた。
 九連子大橋から林道歩きに要した時間は2時間26分、結果としては、先の書籍に載っていた破線の道歩きと所要時間はほぼ同じであった。



ヒメキンミズヒキ

 
オオルリソウ

 
アキノキリンソウ


濃いガスに霞む稜線


ヨメナ


アケボノソウ

 

経過時間

登山口6:30−石楠山7:46−南山犬切8:49−七辺巡り9:25−山犬切峠10:24−北山犬切11:06−上福根山
12:46〜13:10−林道川口線出会13:41−岩宇土山14:27−岩宇土山登山口16:25−登山口着18:54

注1 上記の時刻はGPSに記録されたデータ
注2 出発から山犬切峠の間は濃いガスのために、所要時間は計画より1時間ほど多くかかった。
注3 経過時間には写真撮影も含んでいる。
注4 昼食は上福根山。 




チャの花

 
コバノガマズミの実

 
ガマズミの実

 
ヤマボウシの実


色づき始めたマユミ


たわわに実るミズナラの実

 

タムシバの実


アケビ

ホウノキの実 


ガマズミ

 
マムシグサ


刈り込んだように食べられた
イヌツゲ ノウサギの仕業






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倒木の上で育つ
カエデの幼樹



シイタケ

 

倒木の上で芽を出して育った古木
空洞は倒木が土にかえった跡 



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