尾崎山(1438m) 宮崎県

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登山口近くの稜線から見た尾崎山


尾根の登山道


山頂


5月27日

 椎葉村の大河内越から、山頂を往復した。距離は6.3km、所要時間は3:25であった。
 この峠からは、南に位置する三方岳への登山者は多いが、尾崎山への登山者は比較的少ないようだ。
 登山口に尾崎山への案内板はないが、峠の東20mほどのところから明瞭な踏み跡がある。登山口からすぐ稜線に上がり、切り開かれた稜線を進む。

 途中からは北東方向に、なだらかな尾崎山の稜線が見える。稜線には小さな突起がいくつかあって、どれが山頂か分かりづらい。そこで、GPSが示す緯度経度の値から地形図上に現在地を印したあと、コンパスを使い地形図を整置して、前方に見える突起の中から尾崎山を特定する。そこから先は、近づく山頂を時々見ながら稜線を登る。

 切り分けられた登山道は、地形図のA地点1402mピークまでである。そこから山頂までは、背丈を超えるスズタケが密生をしていて歩きづらい。踏み跡はほぼ明瞭で、目印もついているが、踏み跡をはずさないようにしながら進む。

 山頂は三角点を中心に、直径3mほどの小さな広場になっている。周囲はスズタケの壁で見通しは全く利かないが、上を見るとシロモジの若葉が青空に映えていた。

 山頂の近くはスズタケが密生をしていたが、下山時によく観察をすると切り開かれた尾根の西側はスズタケが枯れ始めている。スズタケが枯れるのは数十年ごとに花が咲くことによる、とされている。しかし、それだけでは説明がつかないような現象を、最近九州山地のあちらこちらで見てきた。それは、スズタケの葉が引きちぎられ、葉の数も少なくなって枯れ始めているのである。

 九州山地で、スズタケが枯れ始めている原因を知りたいと思い、下山後、椎葉村大河内にある九州大学宮崎演習林の研究施設に立ち寄り、その原因を尋ねてみた。
 その結果、スズタケが枯れ始めている原因の多くは「シカがスズタケの葉を食べたことによる」とのことである。

 シカが増え過ぎて草を食べ尽くしたところでは、植林をした若いスギや今まではあまり食べなかったスズタケ、そしてつい最近、五家荘からは「ヤマシャクヤクも食べ始めた」との情報もいただいた。ヤマシャクヤクはシカが食べない、とされれていた植物である。

 シカが草の類を食べ尽くしたところでは、地面が露出していて山崩れの誘発も懸念される。
 九州の全域でシカが大量に殖えた主な原因は、長年にわたる「人」の行為によるものであるが、なんとかシカと共存できる方法はないものかと心を痛めている。




大河内越の登山口 ガードレールの端から北へ


ホウノキ





ツクバネウツギ


登山道沿いのブナ林


シロモジの若葉


山頂近くのスズタケに覆われた登山道


ヤマツツジの大木



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