乙野岳(616m)〜西山(645m) 福岡県


西山山頂から見た玄界灘


途中の林道から見える福智山

 
途中の林道から見える英彦山


仮称 草場岳

 
乙野岳


西山山頂
  
経路概念図 クリックで拡大


仮称 往来岳


 辰のひら 地面には石に
彫られた古い道標

3月22日

 宮若市の犬鳴ダム左岸にある「たたら跡」から、標記期2座を経て薦野峠へ周回をした。距離は11.1km、所要時間は5:15であった。薦野峠のすぐ先から約1kmは、今月上旬の雪でスギの大木が大量に登山道に倒れ込んでいて、その僅かな距離を通過するのに2時間近くかかった。

 登山口から、地元の皆さんによって最近開設をされた「たたら新道」を進む。登山道はスギ林を通って沢を渡ると自然林になり、そこからは急坂を登る。踏み跡はできはじめたばかりであるが、目印が付けられていて分かりやすい。自然林の中は人の幅だけ枝が切り払われていて、歩くのに支障はない。

 しばらく進むと林道へ出る。そこからは林道を進み三叉路の先で再び登山道に入る。登山道は自然林の稜線を通っていて快適だ。起伏は少なく、やがて緩やかな頂の乙野岳に着く。乙野岳の三角点は登山道沿いの山名標識から、西へ20mほど入ったところにある。

 登山道はやがて小さなピークを二つ越えるが、そのピークにはそれぞれ仮称草場岳、仮称往来岳の標識が付けられている。近いうちに正式な山名となることを期待しながら先へ進む。この辺りは登山道のすぐ側を高電圧鉄塔建設用
の車道が通っていて、その車道は仮称往来岳の手前まで延びている。

 登山道は明瞭で、しばらく進むと「辰のひら」に着く。ここは内陸と海岸を結ぶ、古い山越えの道が通っていたようだ。地面には石の板に彫られた道標が置かれていて、往時が偲ばれる。

 西山の山頂での展望を期待していたが、この日はあいにく霞が濃くて、玄界灘の海岸線がぼんやりと見えているだけである。

 西山では、登山者の方から私たちが通る予定の薦野峠からダムへ下るコースは倒木が多く「通行は極めて困難」との情報をいただいた。予定のコースを変更して犬鳴山への周回も考えたが、犬鳴山へは半年前に歩いており、困難は承知で当初の計画通り、薦野峠からダムへ下ることにする。

 西山から薦野峠までは倒木は全くなかったが、峠から下り始めるとすぐ、樹齢30年を越える立派なスギが裂けたり折れたりしている。谷底に着くと、スギは左右から登山道に幾重にも重なって倒れ込んでいて、隙間なく谷底を埋め尽くしている。一面のスギが壊滅的な被害を受けているのを目の当たりにして、自然の猛威に唖然とするばかりだ。

 強引に進むか、引き返して別のルートで下山するか迷った。しかし、先ほど山頂で会った登山者は、ここを通過してきたとのことであり、気を取り直して通行可能なラインを探し、谷の横の急斜面を登ったり下ったりを繰り返しながら、2時間あまりをかけて倒木帯を通り抜けることがだきた。

 この倒木帯を通るのは危険性が大きく、通行禁止や注意の知らせる看板の設置を地元の市役所に依頼するつもりでいた。

 翌朝、私たちの思いが通じたかのように、新聞で「この登山道は通行止めにされる」と報道された。登山口には、登山者が危険にさらされないように「通行止め」の案内板が一日も早く設置されることを願っている。 

乙野岳近くの登山道


3月上旬の雪による凄まじい倒木


マルバコンロンソウ

 
タチツボスミレ


フキノトウ


登山道は倒木の下


冬を越して、暖かな陽射し
の中で飛び始めたアカタテハ



ヤブツバキ


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