鷹巣山(1453)〜蕨野山(1438m)  熊本県


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11月25日

 八代市泉町久連子から球磨地方へ大規模林道が延びている。林道は工事中で、登山口の先で通行止めになっている。

 その林道沿いにある登山口から、標記の2座を往復した。距離は7.5km、所要時間は5:30であった。

 標記2座は国土地理院の地形図に記載されている山名とは異なり、位置も違っている。
 ここで用いた山名と地形図上の位置は、市役所から紹介をしていただいた山に詳しい地元の方に、下山後、直接お会いをして教えていただいたものである。

 登山口は、久連子大橋から大規模林道を2.4kmほど進んだ山側にあり、道標はないがテープの目印がつけられている。登山口はこの先にも2か所あるが、それらの登山口と異なる点は、テープの数の多さと木の枝にさしてある清涼飲料水の青い缶があること。加えて、山側の側溝には、長さ2mほどの金属製網状の蓋が取り付けられていることである。側溝に蓋があるは、ここだけのようであり、杣道に対応したものであろう。

 前述の地元の方の話では「鷹の巣山への登山口は今回の登山口の先に、もう2か所ある」とのことで、いずれも目印がつけられている。二つ目の登山口にはピンク、三つ目の登山口には白い目印がつけられている。その目印は私たちも入山前に確認をしていたが、登山道の状況は不明である。

 登山口からは、よく手入れがされた杣道をジグザグに登って行く。杣道は椎茸の原木となるコナラの疎林の中を通っていて、しばらく登るとシカよけのネットに出合う。ネットの中ではシカの食害から守られながら、5〜6年生の若いスギが元気に育っている。

 ネットは杣道と交差をするところに出入り口が設けられている。通行の際は開けたネットを閉じて確実に紐で結びたい。

 残念なことに、私たちが通ったときは、ネットの出入り口が開けっ放しになっていた。地元の人がこのような事をすることは考えられず、これは明らかに、登山者の不始末ではなかろうかと思っている。

 近年、地元ではシカによる食害が深刻で、苦労をしながら多大の経費をかけてネットの設営が行われているところである。

 また、杣道は地元の方々によって草刈りや修繕など、一年を通しての保全が行われることによって維持され、山林は地元にとって大切な資源でもある。

 私たち登山者は、地元の方々の好意によって、杣道や大切な山林の中を通らせていただいている。山を歩く人はこのとを忘れずに、通行時のネットの後始末など、最低限のマナーは守りたいものである。

 杣道はシカよけネットの二つ目の出入り口で終わり、そこから先は尾根を山林の中へ進む。踏み跡は不明瞭で、次第にスズタケの密度が濃くなり、やがて背丈を超える高さの濃い藪になる。目印は少なく、見通しの利かない藪は数十メートル続いている。藪の中では進行方向を誤らないように注意をしながら進む。

 藪を抜けると樹齢30年を越えるスギ林を経て自然林へ出る。その辺りから先のスズタケは全て立ち枯れていて見通しも良く、歩くのに支障はない。

 幅の広い尾根からはずれないないように、南南東へ進んで稜線に出る。そこから稜線をほぼ西へ150mほど進むと、鷹の巣山の山頂である。

 山頂からの展望は360度。目に映るのは幾重にも重なり連なる山また山の風景である。

 山頂には地元の呼称「鷹の巣山」と地形図と同じ「蕨の山」の二つの私製標識がある。これら二つの標識を見ると複雑な思いである。山の名称は統一をしてほしいと思う。

 国土地理院が発行をしている地形図の山名は、地元で古くから使われ親しまれている名称へ変更されることを希望している。

 山頂から西へ続く稜線の先には、蕨野山が見える。この日は小春日和のぽかぽか陽気。今日は時間にも余裕があり、計画通り稜線に沿って蕨野山へ向かう。

 稜線の大木は、その多くが台風によってなぎ倒されていて、大型のジャングルジムのようである。蕨野山へは風倒木を乗り越え、くぐり、迂回をしながら進むこと50分。細長く緩やかな傾斜の蕨野山々頂に着く。

 山頂には長い年月を経た、私製の小さな標識がある。その標識からは「蕨野山」の文字がかろうじて判読できる。

 山頂からは、先週歩いた積岩山が近くに見える。今回の登山口から積岩へは、一日で周回できそうである。その時期は、日の長い初夏の頃が良さそうだ。

 復路は往路を辿ったが、風倒木を越えるのにも要領が良くなり、順調に進む。往路でとまどったスズタケの藪もすんなり通過することができて、時間に余裕を持って下山をすることができた。

 下山後、久連子にある「古代の里」を訪ねた。ここには地元の直売所があり、加工食品や工芸品、野菜などが販売をされている。今日のおめあてはコンニャク。しかし、売り切れ、人気が高いようだ。
 
 実は一週間前にも訪ねてコンニャクの試食をさせていただいた。味はまろやかで癖がなく、歯触りも良い。町で買う物とは明らかに違う味で、おいしい。尋ねると、コンニャクを固める灰汁が違うそうである。たくさん買い込んでおみやげにした。今回はそのコンニャクのリクエストがあり、立ち寄ったが売り切れていて残念。代わりに干しシイタケをおみやげにした。
 
 ささやかではあるが、久連子を訪ねた時は山を歩かせていただいたお礼と、地域が元気であり続けることを願って、いつも立ち寄っている。 
 
鷹の巣山山頂
「鷹の巣山」と「蕨野山」二つの標識


 
 
鷹の巣山から見た蕨野山

   
ツルリンドウの実にも霜
 
霜がおりていた杣道

 
開いていたシカよけネットの
出入り口


 
稜線の風倒木

 
稜線近くの平たい自然林古い畑の跡か

 
登山口から続くコナラの林

 
登山口の目印

 
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