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積岩山(1438m)  熊本県                         

作業道に停められたブルドーザー
「登山口」の標識はバケットのところ



11月16日

 この山は五家荘の一つ、久連子集落の南に位置して、東へ蕨野山から鷹の巣山へと長い稜線が連なっている。久連子集落をはさんで北側にある岩宇土山や上福根山からよく見え、毎年、これらの山に登るたびに、いつかは歩いてみたいと思い続けてきた山である。

 しかし、ガイドブックによるとスズタケの藪がひどいとのことで、躊躇をしていた。藪山を歩くには季節もよくなり、加齢とともにこの先急速に低下をするであろう体力的なことを考え、思い切って歩いてみることにした。

 事前に地元の市役所に山の情報を尋ねたものの、電話でのやりとりでは限界があり、後日関係資料を送ってもらうことにして、まずは出発をする。
 計画では、積岩山を経て蕨野山を往復をする予定である。もしも途中で困難名状況に出合えば、無理をせずに引き返すつもりだ。

 八代市泉町久連子から南に延びている林道を車で進んだが、途中まで行くと伐採されたばかりの数本のクヌギが林道をふさいでいて、通行不能。いきなり出鼻をくじかれた。仕方なく近くに車を置いて、そこから歩く。林道終点のすぐ先にある登山口からから、ガイドブック「九州脊梁の山山」や「九州百山峰」を参考に山頂へ。復路は岩茸越(いわなばごし)へ一部周回をした。
 距離は約6.8km、所要時間は4:50であった。この日の総行動時間は、登山口探しの1:30を加えると6:20であった。

 林道の終点まで来ると、林道と同じくらいの道幅で作業道が東へ延びている。その作業道へ少し入った所には、ブルドーザーが道をふさぐように停めてあり、「積岩山登山口」の標識が取り付けられていた。

 私たちはその標識を見て、登山口を探しながら、作業道を数百メートル先の伐採跡地まで進む。途中で白いテープを2か所で見つけ、登山口を慎重に探したが、見つける事ができなかった。
 引き返して、再度ブルドーザーの標識を確認し、今度はブルドーザの位置から積岩山へ延びている尾根の周辺やを数十メートル登るなどして探したが、そこでも登山道を見つけることはできなかった。
 
 残るのは林道の終点から北北西へ延びている谷筋である。この谷筋には地形図に岩茸越へ向かう古道、山道が記載されている。土石流で幅が広くなっている谷を数十メートル進むと、立木に「積岩山登山口」の小さな標識を見つけた。一安心である。しかし、ここまでに要した時間は1:30ほど。大きな時間のロスである。

 この標識は林道の終点からは見えないので、標識を見つけやすくするために林道の終点と標識の中間で、双方からよく見える立木に赤テープを巻いておいた。

 この標識から先は目印はあるが、踏み跡は不明瞭で、目印を追いながら谷の中を上流へ向かう。間もなく堰堤が2か所現れる。最初の堰堤は目印に沿って左岸から越え、次の堰堤は右岸から越える。
 2つめの堰堤を越えた所から杜道が上流に向かって延びていて、その杣道を進む。杣道は再び涸沢に出る。ここから先は踏み跡が益々不明瞭になる。沢は少し先で沢が3つに分かれた地点に出合う。 そこからはガイドブックに従って一番左、最も東の沢へ進む。ここには右、つまり西方向へのテープもついているが、その先は確認をしていない。

 少し進むと目印は沢筋から東側の尾根へ向かっていて、急坂を登る。この急坂は歩くと落石を起しやすく、注意が必要だ。尾根に乗るとそこからは直線的に南へ進み、稜線に出る。そこには「積岩山まで20分」の標識がある。ガイドブックでは岩茸越に出るとの説明であるが、目印に沿って到達した稜線の位置は岩茸越から東へ約200mの所である。ガイドブックのルートと、現在の目印のルートとは一致していないようだ。

 ガイドブックの説明では「稜線付近ではスズタケが藪状に茂っている」とのことであったが、現時点では周辺のスズタケは全て立ち枯れていて、歩くのに支障はほとんどない。

 出発時の登山口探しで、山頂に着いたのは計画より2時間近く遅くなった。そのために、予定をしていた蕨野山へ向かう計画は変更して、岩茸越へ周回することにした。
 山頂から岩茸越へ向かい、国土地理院の地形図に記載されている山道に沿って出発地点へ戻る計画である。途中で進むのが困難な状況に出合えばなれば、往路までまで引き返すつもりだ。

 山頂から岩茸越へは往路で出合った標識まで戻り、そこからは稜線を進んだ。この辺りのスズタケも全て立ち枯れていて、見通しはよい。岩茸越の位置確認は地形図とGPSで行った。岩茸越には古いテープが一ついている。そこから北へ向かうが、人の踏み跡らしい痕跡はなく、長年にわたって人は歩いていないようだ。目印も全く見あたらないが、地形図の山道から大きくそれないようにしながら、危険性が高い谷筋は避けて、尾根を下る。

 その尾根もしばらくすると終わり、その先は谷になっている所に出た。そこからは危険を避けるために東側の尾根へ上がり、往路と出合う。やれやれ、一安心である。あとは往路と同じ道を下って出発地点へ戻った。

 帰宅をすると、八代市役所から出発前に依頼をしていた資料が届いていた。その中で紹介をしていただいた、山に詳しい地元の方に尋ねたところ、ブルドーザーに付いている標識の登山口は、ブルドーザーから作業道を東へ100mほど進んだところにあり、私たちが見たのと同じ白いテープをつけているとのことである。
 次の機会にはその登山口から、今回中止をした蕨野山をめざしたいと思っている。

林道終点の少し先、土石流の谷の中
スギにつけられた「登山口」の標識



間伐株の上に置かれた石の目印


スズタケが枯れて見通しがよい稜線 山頂はこの先
踏み跡は不明瞭で注意が必要
 尾根の自然林

 

中腹の紅葉



マツカゼソウ

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