中標津町 武佐岳(1,006m)


5月16日


 盛んにさえずるコマドリの声に目を覚ますと午前3時である。
かすかに明るくなったばかりであるが、小鳥の朝は早い。
 コマドリの群れが北海道の東部にまで到達したようだ。
 その澄み切ったさえずりに眠気も覚め、心地よい朝の空気を胸いっぱいに吸い込むと、山歩きへの気持ちが一気に高まってくる。

 今日は1週間ぶりの山歩きだ。昨日、町役場に登山情報を尋ねたところ「情報はなし、ただ、クマには注意」との助言を得た。
 山には雪がかなり残っているようであり、雪山の装備と鈴や笛、クマ撃退スプレーを準備して出発する。



山頂からの展望 中央奥斜里岳 右奥知床連山


青空に映えるダケカンバ


牧場から見た武佐岳


エゾエンゴサク

 
フキノトウ


クマの足跡!
大きさは23cmほど


 春の花を期待して歩いたが顔を出していたのは数株のエンゴサクとフキノトウだけで、花にとっての春はもうしばらく先のようだ。
 標高700mくらいから上は登山道にも雪が残っていて、ルートの見定めやスリップに注意をしながら慎重に歩く。
 山頂からの眺めは雄大で、遠くには残雪の斜里岳や知床の山並みが連なっていた。

 下山の途中、登山道に残るクマの足跡らしいものを見つけた。私たちにとっては初めて見るものであり、写真に撮り町役場に届けて見てもらったところ「クマの足跡に間違いない。それにしても非常に大きなものである」との説明に思わず胸の高鳴りを覚えた。
 今日、幸いにもクマと出会わずに済んだのは、鈴や笛の効果があったのではなかろうかと思っている。  


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