馬見山(977.7m)~屏山 へいざん(926.5m)~古処山(859.5m) 福岡県

 
 
 

馬見山山頂 南東から西方向が大きく開けている
奥のベンチには、この日お会いした登山者の皆さん




 
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屏山山頂 北方向の見晴らしが良い


2015年6月1日

 標記三山の登山道調査を進めている。この日は公共の交通機関を利用して、東峰村小石原から三山を経て朝倉市秋月への縦走である。朝倉市の杷木発着所から西鉄バスに乗り、東峰村の小石原バス停で下車。
 バス停から、国道211号を嘉麻市方向へ1.8kmほど歩いて、馬見山の登山口に到着(写真④)。登山口から、九州自然歩道と重なる登山道を登る。スギ林の中を進み、標高点717mの手前辺りから、ルートの尾根筋は自然林になる。地図のAで林道を横断⑤。林道の横断は、Fまでに合計6カ所。横断地点には、いずれも道標がある。
 朝倉市の栗河内へ通じる旧登山道の分岐点、地図の栗河内分岐1には、「栗河内への登山道は、小石原川ダム工事により通行禁止」看板がある、その看板には、「旧登山道は荒れており通行困難」の標示も。また、ここを通る人たちの安全を願う、古い石仏が祀られている⑥。
 さらに進むと、栗河内分岐2に着く⑦。ここから栗河内へのルートは、ダム工事が始まる前までは登山道として利用されていたもので、現在はダム工事のために通行止めの措置がとられ、分岐1と同じ看板がある。
 これら新旧二本の登山道の通行止めの期間について、工事を行っている水資源機構に尋ねた。その結果、通行止めの期間は「現時点での予定は、平成31年度末まで」との回答をいただいた。
 馬見山の山頂は南東から西方向が大きく開け①、すぐ下の江川ダムや筑紫平野、その先には耳納連山が淡く霞んで見える。見通しが良い日には、遠くに多良岳や雲仙の山々、それに阿蘇やくじゅうの山影も見える。しかし、この日の遠景は霞の中。山頂から西へ50mほど進むと、馬見山の一等三角点がある⑧。ここは東方向が開けていて英彦山がよく見えるが、この日はその山影がすかにみえるだけである。
 三角点のすぐ先で、北方向へ分岐する御神所岩・馬見キャンプ場へのルートを見送り⑨、西方向へ連なる主尾根に沿って屏山へ向かう。
 鞍部の宇土浦越は十字路で⑩、右(北)に進めば嘉麻市の馬見集落へ。左(南)は馬見林道に出て、江川ダムへ通じている。ここにはベンチがあり、一休みするのにちょうど良い。宇土浦越から急坂を登る。途中では、無名峰を巻くルートが右へ分岐する⑫。そこは直進して無名峰の頂へ⑬。
 この無名峰は、南の筑後川方面から見ると美しい三角錐に見える山で、名前をつけていただきたい山である。地元に呼び名があればその名を、なければ「屏山東峰」、あるいは嘉麻市の地名を冠した馬見山、屏山とのバランスを考慮して、朝倉市側の地名を冠した「江川山」など、いかがであろうか。
 無名峰の少し先で、先ほどの巻き道と合流してさらに下り、鞍部から再び登って屏山の山頂②に到着。山頂には三等三角点があって北方向が開け、麓の嘉麻市の田園地帯が見える。この日は霞んでいるが、見通しが良い時は筑豊盆地の先に、犬鳴山や福智山も見える絶好の展望地である。
 屏山から緩やかに下り、石灰岩が露出する尾根を登る。尾根筋には、国の特別天然記念物であるツゲの古木が続く。北へ分岐する奥の院から遊人の杜キャンプ場へのルートを見送って、さらに登る。古処山の山頂広場の少し手前には、古処山の四等三角点がある⑭。 この三角点は登山道の右側(北)にあって、高さ2mほどの大きな石灰岩の上にある⑮。このため、普通に歩いていては気づかないことが多い。
 古処山の山頂③には祠があり、ベンチもある。山頂のそばにある国見岩からは、筑紫平野の先に耳納連山や津江の山々、それに、脊振山から三郡山地にかけての大展望が広がる。
 古処山から、麓の秋月へ下る。水場である水船⑯を通り、三角杉の看板を見てさらに下ると、古処林道の終点に出会う。車はここまでの乗り入れが可能で、林道はエスケープルートとして利用することができる。
 渓流に沿って下ると、小さな徒渉点が数カ所あり、やがて川幅10mほどの徒渉点に着く⑰。水深は浅く、渡るのにほどよい岩も露出していて支障なく通過。やがて、古処山の登山口である二カ所の駐車場の前を通って車道に出る。ここには「古処山入口」のバス停がある。しかし、この時期のバスの運行は、これから向かう「野鳥バス停」まで。車道を横断して直線的に農道を下り、再び車道に出たところから車道を下って目的地の「野鳥バス停」に到着した。そこから、路線バスとして運行している、甘木観光バスに乗って西鉄電車甘木駅へ。

 今回は東峰村の小石原から縦走したが、バスの時刻が登山計画に合えば、逆に朝倉市の秋月からの縦走も良いと思う。また、徒渉のことも考慮すれば、秋月から登る方が増水時の計画修正もしやすいと思われる。
 但し、秋月側のバスの便に比べ、小石原発着の便数は少なく最終便も遅くまではないので、慎重な計画が必要である。
 今回と同じルートを辿った場合、ある程度の増水であれば、距離は長くなるが古処林道の終点から林道、国道322号を歩いて秋月まで行くことになる。
 縦走路は九州自然歩道と重なり、道標も整備されていて歩きやすい。特に危険なところはなかったが、露出した石灰岩が濡れている時は滑りやすいので注意する。それに、古処山から秋月までは渓流に沿い、徒渉するところもあるので、計画にあたっては事前の降水量に留意する。
 ルートの魅力は、尾根筋に続く自然林⑪と国の特別天然記念物ツゲの原始林、それに、各山頂からの展望であろう。加えて、コショウノキやベニシュスラン、ヒメウラシマソウ、オオキツネノカミソリなどの花も折々に楽しめる。

 
 


古処山山頂 奥にある国見岩は展望に優れる



国道211号沿いの馬見山登山口


 


地図のA 林道の横断地点
 尾根に沿って進む

林道の横断は、馬見山
までに合計6カ所


  

ハンドウ仏
栗河内分岐1に祀られている石仏

ここから栗河内へ通じている
旧登山道は通行止めの看板
看板には、「旧登山道は荒
れて通行困難」の標示

  
 

栗河内分岐2
実線の矢印は馬見山方向
破線の栗河内へのルートは
通行止めの標示

 

馬見山の一等三角点
山頂の西50m
ここからは、英彦山がよく見える。
しかし、この日は淡く霞んでいる
 



馬見山三角点のそば
直進は屏山方向
破線の矢印は御神所岩・馬見キャンプ場方面




地図の宇土浦越
実線の矢印は屏山方向
破線の矢印右は、嘉麻市馬見集落へ
破線の矢印左は、馬見林道に出て
江川ダムへ


 ⑪

縦走路の尾根筋は
美しい自然林が続く




無名峰手前の巻き道分岐点
実線の矢印は無名峰へ
破線の矢印は無名峰の巻き道


  

無名峰の頂
 

   

古処山の三角点
⑮の石灰岩の上にある

 

 

古処山の山頂側から見る
三角点がある高さ2mほどの岩
岩の後ろに足がかりがある


  ⑯

水船 (水場)




川幅10mほどの徒渉点




ルート沿いの古処林道終点


 

古処林道終点の手前にある、滝1

 
 ⑳

古処山登山口近くの滝2

  

ノアザミ

 

エゴノキ
 


タツナミソウ
 

 
名残のヤブツバキ


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