前福根山(1610m)〜中福根山(約1480m)〜
下福根山(約1630m)〜上福根山(1645.3m)〜茶臼山(1445.5m) 熊本県


経路概念図 クリックで拡大


登山道整備に参加した老若男女の皆さん              写真提供:Mishan


登山道沿いに立つブナの大木


2010年7月27日

 この日は、熊本県八代市泉町の五家荘で行われる登山道整備への参加である。
 参加をしたのは、地元「泉・五家荘登山道整備プロジェクト」の皆さんとボランティアの総勢20名、うち女性は2名。
 ボランティアは、熊本、鹿児島それに福岡県から、遠路はるばるの参加である。

 今回の整備計画は北山犬切の西、一本樫尾根と縦走路の交点から上福根山、茶臼山を経て久連子の茶臼山登山口までの約10kmほど。

 午前8時半、樅木吊り橋の駐車場に集合して、A、B2班に編成。各班の道具は、草刈り機4台と各自が持参した鎌や鉈である。

 「かわせみ」が配属されたA班は一本樫林道の終点まで車で送ってもらい、一本樫尾根を登って作業開始地点へ。そこから作業をしながら、前福根山、中福根山、下福根山と連なる稜線を進んで上福根山へ。上福根山からは横平・樅木方面へ向かい、途中の分岐点から茶臼山方向へ進み、B班と出会って茶臼山登山口へ下山の予定。

 一方のB班は、車で久連子の茶臼山登山口へ向かい、登山口から茶臼山を経て上福根山方向への整備を進め、A班と出会ったあと、茶臼山登山口へ引き返す計画である。

 一本樫林道の終点で、小分けされた草刈り機の燃料を分担して持ち、草刈り機を担いだ4人を先頭に一本樫尾根を登る。この尾根道は良く保全されていて、50分で縦走路に出会う。そこで草刈り機のエンジンがかかり、登山道にはみ出したスズタケや灌木の枝を刈り払いながら進む。ボランティアの皆さんは草刈り機の後に続いて、刈られた枝を片づけ、目印を補強しながら進む。

 縦走路にヤブの濃いところはなくて作業は快調に進み、下福根山の山頂でランチタイム。食事が終わったところで、丸々と太ったマムシが一匹。大きな悲鳴が上がる中、マムシは地元の慣例にそって手際よく処理され、やれやれである。事なきを得て午後の作業を再開。

 上福根山から横平方向へ200mほど進んだところで、茶臼山への道が分岐する。  この分岐点は分かりにくく、仮の道標を設置して茶臼山方向へ進む。
茶臼山への踏み跡は薄いが、ヤブ状のところはなく、このルートの整備も順調に進む。途中にある展望の良いポイントには、ボランティアの発案で「シャクナゲの丘」との仮称が付けられた。

 シャクナゲの丘からほどなくB班と出会い、一服した後下山にかかる。久連子への分岐まで来たところで時間に少し余裕があったので、数名の人たちと茶臼山までの500mを往復して、茶臼山の登山口へ下る。

 尾根道を下り、シカよけネットを過ぎたところで尾根と別れ、人工林の中を下る。人工林の中は踏み跡が薄く、加えて木材運搬車用の作業道が複雑に通っており、B班が設置した道標と目印を確認しながら慎重に下って、登山口に辿りついた。

 この日に整備された距離は10.1km、所要時間は6時間45分であった。この長い距離を一日で整備をすることができたのは、地元の皆さんとボランティアの皆さんの協力の結果であり、登山道整備のモデルとなる素晴らしい取り組みであると思う。
 そして、このような登山環境の整備が将来にわたって続けられることを願っている。

 今回の整備で、雁俣山から京丈山、国見岳、白鳥山、七遍巡り、上福根山を経て茶臼山までの40kmを越える大縦走路を快適に歩くことができるようになった。
参考地図「五家荘ねっと」http://goka.sakura.ne.jp/gokashin/info/html/Map_yama_1.html

 このルートを内回りとすれば、同じく雁俣山を起点に七遍巡りから南山犬切を経て蕨野山、積岩山、奥座向へ周回する外回りも深山の魅力に満ちたルートである。しかし、七遍巡りから奥座向きまでは踏み跡が薄く、一部には踏み跡がないところもあるなど、このルートも順次整備が進められることを期待している。

 それにもう一つ。平家山から五家宮岳、ウードヤ山を経て樅木に至るルートも魅力に満ちている。現在、このルートの大半はスズタケに覆われた濃いヤブ道であるが、それだけにブナなどの自然林が残っていて、このルートの整備も計画されることを願っている。

 五家荘には先述の地図に掲載されている登山対象の山が29座あり、現在作成中の登山者向けの詳細な地図には、さらに数座の山名が加えられる見通しである。
 私たちはこれらの山を対象に、数年前からルート調査や地図づくり、登山のガイドブックづくりを手伝っている。
 現在はまだ整備されていないルートの整備が進められれば、五家荘は自然林や森林文化を体感できる九州屈指の登山、観光基地として、その魅力が益々高くなることと、期待は膨らむ。

たわわに実るブナ 


上福根山の北200mほどのところにある、
茶臼山への分岐点 仮の道標を設置



快適になった登山道


草刈り機での刈り払い


茶臼山登山口へ向かう林道沿いに立つ標柱
平家直系の一人で、久連子に住んだ緒方氏の屋敷跡





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