上福根山(1645.3m)〜中福根山(約1630m)〜前福根山(1610m)〜北山犬切(1621m) 熊本県

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上福根山山頂

 
 

北山犬切山頂


前福根山の標識


上福根山登山口


ヤマグルマのつぼみ
ヤマグルマは、子供の頃
鳥もちを作った懐かしい木



2010年5月12日

 往路は、八代市泉町樅木横平の登山口から標記4座を経て犬山切峠へ。帰りは、林道樅木川口線を岩宇土山への分岐点まで歩き、そこから再び上福根山に登って、出発地点に戻った。距離は17.4km、所要時間は11:40であった。
 なお、今回記載した「中福根山」「前福根山」は山名としては定まっていないようであり、私的な判断で表示したものである。

 この日の目当ては、シャクナゲとヤマシャクヤクの花。樅木から道標にそって林道を車で進む。横平集落を過ぎてしばらく進んだところに、写真の道標があり、ここが登山口。
 車はトラックの通行や離合に支障がない、登山口の手前80mほどのところに駐車する。

 蛇行する林道をショートカットして、テレビのアンテナが立つ林の中を進んで登山口へ向かう。このルートは、毎年のように歩く馴れた道。よく手入れされたスギ林の中をジグザグに登て尾根に出る。

 地図のAあたりからシャクナゲが現れるが、花はすでに散り始め。上福根山との中間あたりまで進むと、満開のシャクナゲの花が朝の光に映えて美しい。
 シャクナゲの花は、標高1450〜1550mあたりが見頃で、それより上は開き始めたところ。
 シャクナゲは地図のBまで続き、花着きは全体的に見ると少ないものの、たくさん着いている木もあって華やかだ。

 シャクナゲの大きな群落の中を進むと、茶臼山への分岐点に着く。ここには分岐を示す小さな道標があったが、今回は見当たらない。茶臼山方向へ向かうには、分岐点が分かりづらくなっているので注意が必要である。

 分岐点から緩やかに登ると上福根山の山頂に着く。山頂は樹林に囲まれていて、枝越しに遠く近くの山並みが少し見える。

 上福根山から、南東へ延びる尾根を北山犬切へ向かう。以前は踏み跡が薄く、倒木もあって歩きづらかったが、ここ数年の間に踏み跡は安定してきて歩きやすくなった。
 途中、小さなピークを五つ越える。うち二つのピークは明瞭で、最初のピークは中福根山。以前、この山名を示す標識がピークを過ぎた鞍部に立っていたが、数年前から見あたらなくなっている。
 次のピークは前福根山。この山名標識もピークを過ぎて下ったところに立てられているが、ピークに移した方が良さそうに思う。

 しばらく進むと、一本樫登山口への分岐点。ここには、先月「泉・五家荘登山道整備プロジェクト」とボランテェアによって立てられた、分かりやすい道標がある。
 このような道標を、先述の茶臼山への分岐点にも立てたいと願う。

 この分岐点から100mほど先が北山犬切と山犬切峠への分岐点。ここにも、分かりやすい同じ道標があり、道標にそって北山犬切りへ向かう。

 このあたりは、数年前までスズタケが茂って歩きづらかったが、今ではスズタケがほぼ枯れて見通しも利き、ずいぶん歩きやすくなった。しかし、スズタケが広範囲にわたって一斉に枯れる現象は異常であり、自然環境の大きな変化が進みつつあるようで気がかりだ。

 北山犬切は露岩の峰で、この日一番のビューポイント。この露岩帯からは、北に熊本県の最高峰国見岳や烏帽子岳、南には市房の山並みも見える。

 北山犬切から、先ほどの分岐まで引き返して、山犬切峠へ下る。途中にはヤマザクラの巨木があり、花を期待していたが早すぎたようだ。ここは標高が1550mほどのところで、花が咲くとすれば、もうしばらく先になりそうだ。
 あとで分かったが、翌々日、仰烏帽子山に登った時にヤマザクラが咲いているのは、標高1000〜1200mあたりであった。

 山犬切峠から、林道樅木川口線を南西方向へ向かう。林道を歩く目的はヤマシャクヤクの花。花は開き始めたところで、見頃は4〜5日先になりそうだ。
 ヤマシャクヤクは林道の上下に自生していて、地図のCあたりまで続く。

 ヤマシャクヤクについては気になることが。地元の人によると、大量に殖えたシカが草やスズタケの葉を食べ尽くして餌不足に陥り、最近はヤマシャクヤクの花びらを食べ始めたとのこと。ヤマシャクヤクには毒があり、シカが食べないとされていたが、それも変わりつつあるようだ。

 確かに、開き始めたばかりのヤマシャクヤクの花のうち、花びらが無くなっている花が点々と目につく。自然に散ったとすれば、花びらが地面に残っているはずであるが、それも全く見あたらないことから、シカが食べた跡かも知れないと思う。
 今は一面に咲くヤマシャクヤクが、シカの食害で絶滅寸前になったキレンゲショウマのようにならないことを願うばかりである。

 林道を岩宇土山と上福根山の分岐点まで進み、そこから上福根山へ標高差200mほどを登り返す。しばらく登ると大きな岩があり、そのあたりから再びシャクナゲが現れ、広い斜面一帯に広がる群落は山頂まで続く。
 上福根山一帯のシャクナゲの群落は大きく、九州の脊梁地域では特筆に値する規模であろう。
 上福根山からは、往路を引き返して出発地点に戻った。

ハイノキの花


トリカブトの群落

 
シャクナゲ





先月「泉・五家荘登山道整備プロジェクト」
とボランティアによって立てられた道標



イチリンソウ


ヤマシャクヤク


バイケイソウ


山桜の巨木


ミツバツツジ


咲き始めたヤマシャクヤク


ブナの大木


北山犬切から見た国見岳




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